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SAXS計算尺の概観

小角散乱用計算尺とは

対数の原理(乗除算が加減算に置き換わる)を用いて小角 X 線(SAXS)および中性子(SANS)散乱に関する計算を簡便に行うことのできるツールです.検出器上でのビーム中心からの距離 x,散乱角 θ,および散乱ベクトルの大きさ q の対応関係を,カメラ長 L と波長 λ に応じて視覚的に表示します.

広角 X 線回折(WAXD),中角 X 線散乱(MAXS),静的光散乱(SLS),小角光散乱(S-SLS),超小角 X 線(USAXS)および中性子散乱(USANS)の計算にも一部対応しています.加えて,Bragg の面間隔 d への換算や回転半径 Rg に対応する各種プロットの直線領域の見積もりなど,実空間との対応関係を表示することができます.

簡単な使い方

(1)上のリンクから小角散乱用計算尺を開きます.

(2) 上から 3 番目の枠(尺)を横にドラッグして,目的の波長(※1)になるように,λ の目盛をすぐ上の尺の赤いマーク(原点マーク)に合わせます.位置は,マウスホイールで微調整できます.

(3)上から 2 番目の尺の灰色の部分(※2)を横にドラッグして,目的のカメラ長になるように,L の目盛をすぐ上の尺の赤いマーク(原点マーク)に合わせます.

(4)これで,検出器上でのビーム中心からの距離 x(上から 1 番目の尺),散乱角度 θ(上から 2 番目の尺),および散乱ベクトルの大きさ q (上から 3 番目の尺)の対応関係が表示されました.(※3)

(5)左端にあるカーソルを,移動させ,対応関係を読み取って下さい.例えば,x = 100 mm に対応する q が知りたい場合には,カーソルを x の目盛りの 100 に合わせてから,q の目盛りでカーソルの位置を読んでください.

(6)上から 4 番目の尺の ∝1/q の目盛りの 2π を,q の目盛りの 1 に合わせた状態(初期位置)にすると,q に対応するブラッグの面間隔 d を読み取ることができます.

※1:正確には媒質中での波長です.通常,X 線 および中性子散乱では真空中と同じと近似できますが,光散乱では異なります.

※2:このとき,上から 2 番目から 4 番目の尺は連動して動きます.尺の白い部分をドラッグすると,2 番目の尺だけが動きます.

※3:黒色の目盛りどうし,青色の目盛りどうしは厳密に対応しています.θ [T] の目盛りと θ [S] の目盛りは, θ が小さいときは近似的に同じとみなせますが,大きいところでは,ずれているので,注意が必要です.

詳しい説明

1. 各部分の名称と役割

2. SAXS(SANS)についての計算

3. X 線の波長とエネルギーの換算

4. Bragg の面間隔との対応関係の表示

[以下準備中]

5. 回転半径に対応する各種プロットの直線領域の見積もり

6. 決定可能な最小の回転半径の見積もり

7. 均一球状粒子の散乱プロファイルのフリンジ位置の計算

8. SLS についての計算

9. MAXS および WAXD についての計算

10. USAXS,USANS,および S-SLS についての計算

参照文献

記事中の数式

「光散乱法の基礎と応用」

柴山充弘,佐藤尚弘,岩井俊昭,木村康之(講談社,2014)[出版社ページ]

「X 線・光・中性子散乱の原理と応用」

橋本竹治(講談社,2017)[出版社ページ]

  
計算尺の基礎知識

「計算尺推進委員会」ホームページ

https://www.pi-sliderule.net/

計算尺の尺の移動のコード

「JavaScriptで要素をドラッグして移動する簡単な方法」

https://qiita.com/economist/items/d4254209330c11caff04

スクロール禁止処理のコード

「【純JavaScript】iOSもクリア!スクロールを禁止にする」

https://webtodesign.pw/post/990/

免責事項

間違いの無いよう万全を期してはいますが,自己責任で利用してください.当方では,このページの情報を利用して生じた損害を補償しません.


第 1 版(最終更新日 2025/04/04)
連絡先
領木研之
Email: ryoki(at)molsci.polym.kyoto-u.ac.jp
(at)を @ に置き換えて下さい.