「5. 回転半径に対応する各種プロットの直線領域の見積もり」において,希薄溶液を測定では,回転半径 Rg と散乱ベクトルの大きさ q における散乱強度 I(q) との間に,
I(q) = I(0) [1 − (1/3)Rg2q2 + ……] (6.1)
の関係があることを書きました.また,直線性を改善したプロットとして,各種プロットがあることを説明しました.
さて,実際の測定においては,I(q) と I(0) がそれなりに違っていなければ,Rg を決定することができません.経験的には,測定精度の良い(ノイズの少ない)装置を使う場合には,測定可能な最大の q での I(q) が I(0) から 10 % 程度小さくなっていれば測定可能です.測定精度の悪い装置であれば 20 % ぐらいは変化している必要があります.
測定可能な最大の q (qmax)において, I(qmax) が I(0) から 10 % 小さくなっている場合を考えます.このときの回転半径 Rg,min とqmax の関係は,式(6.1)より次のようになります.
(1/3)Rg,min2qmax2 = 0.1 (6.2)
これを Rg,min について解くと次の式が得られます.
Rg,min = (3/10)1/2 / qmax (6.3)
式(3)に基づいて,qmax から Rg,min を求めるには次のように操作します.
(1)下滑尺をドラッグして,q 尺の 1 の目盛りを ∝1/q 尺の √(3/10) に合わせた状態にします.(※)
(2)q 尺上で 目的とする qmax の値を探します.対面する,∝1/q 尺の値が Rg,min を表しています.
※測定精度の悪い装置について Rg,min を見積もりたい場合は,√(3/5) に合わせて下さい.