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2. SAXS(SANS)についての計算

始めに

検出器上でのビーム中心からの距離 x,カメラ長(試料―検出器間距離)L,および散乱角度 θ の間には以下の関係があります.

tan θ = x / L   (2.1)

また,散乱ベクトルの大きさ q,媒質中での波長 λ,および θ の関係は以下の式で表されます.

q = 4 π sin (θ / 2) / λ   (2.2)

これらの関係式に基づいて,x から θ,もしくは θ から q を計算するのが,この計算尺の主な機能です.

基本的な使い方はメインページの「簡単な使い方」に記載した通りです.ここでは,いくつかの利用例について紹介します.

測定可能な q (または θ )の範囲を求める

(1)ビーム中心から検出器の検出面外側までの最長距離 rmax を調べて,1 つ目のカーソル(この説明では赤とします)を x 尺の x = rmax の位置に合わせます.

(2)ビームストッパの半径 rmin を調べて,2 つ目のカーソル(この説明では緑とします)を x 尺の x = rmin の位置に合わせます.

(3)カメラ長 L と波長 λ を設定します.2 つのカーソルの間にある qθ の範囲が測定可能な範囲です.

検出器の範囲と尺の設定

カメラ長の変更による測定可能領域の変化を調べる

上のようにカーソル,L 尺,および λ 尺 を設定した状態にあるとします.この状態で,全滑尺移動領域(上滑尺の灰色の部分)をドラッグして,新しいカメラ長 L となるように全ての滑尺を同時に動かします.

2 つのカーソルに挟まれた qθ の範囲が測定可能な範囲です.逆に q 尺 または θ 尺の値を確認しながら全滑尺移動領域をドラッグすることで,測定したい q (または θ )の範囲に適したカメラ長を見積もることができます.

L尺のドラッグ

波長の変更による測定可能領域の変化を調べる

中滑尺をドラッグして,新しい波長 λ となるように動かします.

2 つのカーソルに挟まれた q の範囲が測定可能な範囲です.逆に q 尺の値を確認しながら中滑尺をドラッグすることで,測定したい q の範囲に適した波長を見積もることができます.

λ尺のドラッグ

その他の便利な使い方

Web 計算尺の利点は,複数の尺を並べて比較できるところにあります.複数条件を比較する際は,新しい尺を立ち上げると良いでしょう.