研究内容

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2.屈曲性および半屈曲性高分子の精微特性解析

ポリスチレン

ポリ(α-メチルスチレン)

ポリ(n-ヘキシルイソシアナート)

 高分子は、低分子(モノマー)が共有結合によってつながっ
てできた鎖状分子である。高分子鎖の特性は、モノマーの
化学構造と密接に関係があり、モノマーの化学構造の違いが
高分子鎖の分子形態に大きな違いを引き起こしうる。上述の
HWモデルに基づいて実験データを解析することにより、高分子
の化学構造に由来した高分子の個性(高分子鎖の固さと局所
形態)を明らかにすることを『精微特性解析』という。
 右図は、ポリスチレン(PS)とポリ(α-メチルスチレン)(PαMS)
の平均二乗回転半径〈S2〉の重合度x依存性である。実験デー
タにHW理論値をフィットさせることでこれらの高分子に対する
モデルパラメータを決定する。そのモデルパラメータに基づいて
Monte Carloシミュレーションを行い、鎖長1000Åの各高分子鎖
を可視化すると下のようになる。PSとPαMSは、化学構造の違
いに応じて、かなり異なった分子形態をとる。
 右下に、同様にして得られたポリ(n-ヘキシルイソシアナート)
の分子鎖形態を示す。この高分子はかなり剛直な形態をとる。

高分子溶液物性に関する理論・実験両面からの研究

1.らせんみみず高分子鎖モデル(Helical Wormlike Chain Model)に基づく理論的研究

 らせんみみず(HW)高分子鎖モデルは、当研究室
から提出された一般的高分子鎖モデルであり、溶液
中における屈曲性および半屈曲性高分子鎖の振る
舞いを記述することができる。HWモデルは、曲げと
捩れの弾性エネルギーを持った弾性ワイヤーモデル
であり、エネルギーが最小の時、特性らせんと呼ば
れる完全らせん形態をとる。溶液中における実在高
分子鎖は、特性らせんが熱擾乱によって崩れたもの
として表現される。特性らせんの半径ρ、ピッチ
特性らせんの崩れ難さを表す剛直性パラメータλ-1
単位鎖長当たりの分子量MLがモデルパラメータとな
る。これらのパラメータを用いて、高分子鎖の静的物
理量、輸送係数、ダイナミクスに関する解析的表記
が導かれている。

半径ρ

ピッチ
 h

特性
らせん

λ-1の大きなHW鎖

λ-1の小さなHW鎖

和文総説

発表論文

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